三島由紀夫『金閣寺』論―自我実現への障害について[日语论文]

要旨

本論文は、三島由紀夫の代表作『金閣寺』を研究したものである。『金閣寺』は出版されて以来、学界で注目を集めている。近年、学界では「自我」についての研究がだんだん盛んになっているが、それを『金閣寺』の研究テーマにしたものは少ない。ということで、本論文は『金閣寺』における主人公の自我実現、特にその実現への障害をめぐって、論じていきたいと思う。

本論文は五つの章からなっている。まず、第一章では、『金閣寺』と三島由紀夫を紹介する。それから、第二章では先行研究をまとめて、今の研究の問題点を指摘し、本論文の研究課題を説明する。第三章では、筆者は、まず「自我実現」の概念を明確に示し、「自我実現」は三つの側面を備えていることを明らかにする。それから、『金閣寺』のストーリーラインを整理し、テキストを分析し、主人公の三つの面における自我実現への障害を研究する。第四章は、作者の生涯や歴史の背景をもとに、作者の創作動機を論じてみる。この分析を通して、主人公に投影された作者本人の姿と経験が見られると思う。筆者は作者の創作動機を解明しながら、深く作品を分析する。第五章で全文をまとめて、結論づける。つまり、主人公の美の観念は彼の自我実現への障害であるということである。最後に、今後の研究課題を展望する。

キーワード：金閣寺　　三島由紀夫　　自我実現　　障害　　美の観念