東野圭吾の小説における人間性に対する考察―『悪意』を例にして[日语论文]

要旨

社会派推理小説は単に謎解きだけを重視しているのではなく、事件が起こった社会的な背景を描き、現実の社会に起きている問題を反映する。作品の主題に強い社会性がある。東野圭吾氏の短編小説『悪意』はこのジャンルに属し、加賀恭一郎シリーズの第四作である。『悪意』は『白夜行』や『容疑者ｘの献身』のような超人気作品と違って、東野圭吾の最高傑作と言われていないが、考察の余地がまだある。 

『悪意』の中で、事件の真相解明は三分の一を占めしている。東野氏は上手にキャラクターを作り上げ、作品の残りの三分の二で人間性の「悪」と「善」を鮮明に描き出した。本論文は、人間性の「善」を代表する日高邦彦と人間性の「悪」を代表する野々口修、この二つの主人公および他の登場人物を分析することにより、『悪意』における「人間性」というテーマを考察する。さらに、現実の社会問題に対して、文学作品の果たしている役割を検討する。

キーワード：東野圭吾　　悪意　　人間性　　社会派