『赤い指』における日本の家庭問題について―人物像の視点から[日语论文]

要旨

現在の文壇において、文学作品の種類が多種多様である。その中で、推理小説は独特な描写方法と脇筋が複数に絡み合う構成の特徴があるので、大衆文学の一つとして愛読されている。推理小説はアメリカに生まれ、イギリスで発展されたが、日本で異彩を放っている。その中で、「日本推理小説の王」と中国の読者たちに称えられた東野圭吾氏は素晴らしい代表作家といっても過言ではない。

東野圭吾（1958年2月4日—）、日本大阪に生まれ、本格派作家としてデビューしたが、後期は社会問題に目を向けて創作していて、松本清張氏などの優秀な社会派推理小説作家の跡を継いでいた人気作家である。社会派推理小説は謎解きより、社会的問題を重視している。そのため、作品を読み進めていくうちに、謎解きの面白さが楽しめるだけでなく、社会問題の主旨はいっそう読者の心に深く 入り込んでいる。『赤い指』は東野氏の典型的な社会派推理小説である。

『赤い指』は未成年の殺人事件を通じて、現在の日本の様々な家庭問題を示し、例えば、家庭教育や少年犯罪や高齢者の生活問題などを含めている。これらの問題は中国社会であれ、日本社会であれ、ある程度で典型的である。この作品のキャラクターの描写、特に家庭メンバーの関係の描写は見事である。作者は人物像を細やかに描写することを通じて、ストーリーの雰囲気を作り出すだけではなく、事件の発展を進め、そして複雑な家庭問題の原因と発展の過程を、人物像と人物関係によって十分に表現している。従って、本論文は『赤い指』を研究対象として、作品の主なキャラクターのイメージと人物関係について分析し、同時に日本社会の現実を結びつけ、作品に反映される日本の家庭問題を検討し、作品をより深く解読する。

キーワード：東野圭吾　　社会派推理　　赤い指　　家庭問題