『黙市』と『寵児』からみた津島佑子の女性観[日语论文]

要旨

津島佑子は、日本の有名な女性作家である。大学時代から卓越した文学的な才能を発揮した津島佑子は、一生の中で、長編と短編を百冊あまりにも書き上げた。そして、田村俊子賞、泉鏡花文学賞、女流文学賞、川端康成賞といった文学賞を受賞した。その他、女性作家としての津島佑子は、女性の視点から、細かい書きぶりで社会現状を分析することが上手である。その上、家庭や男女関係や出産などについての認識を適切に表現できる。

本稿は、津島佑子の代表作――『黙市』と『寵児』を中心に、主人公が男女関係、家庭関係、女性の出産などに対する認識から、二冊の作品で表した女性観を分析する。次に、その女性観から、津島佑子の女性観をまとめる。最後に、津島の独特な女性観の形成原因を探究してみる。

本稿は以上の研究により、次のような観点を明確にした。一、『黙市』から次の女性観を表現した。責任感を持っていない男性が存在しなくてもいい；母親も家庭の支えになれる；女性が自分の生きている価値を追求すべきである。二、女性の出産機能を認める同時に、男性が頼りにならない、女性があえて時代遅れの伝統的な婚姻制度を捨てるべきだという女性観が見られる。三、津島佑子は、女性にとって出産というのは原始的な価値で、女性が家庭の支えになれることと思っている。しかも、女性に妊娠させることは男性が生きる価値の一つであり、女性が自分の価値を追求すべきである。四、父親の自殺、兄と長子の死、そして離婚など一連の人生経験は津島の女性観の形成した現実的な原因である。その他、女性の社会地位が高くなっていること、及び世界女性文学の発展も大切な要素である。

キーワード：津島佑子、女性観、男性、家庭、出産