『豊臣家の人々』から見る司馬遼太郎の歴史観[日语论文]

要旨

歴史小説の多くには歴史上の有名な事件と人物に基づいてできたもので、歴史の伝承にも重要な役割を果たしている。作品の影響力によって、時には人々の史実への認識が左右される場合もある。司馬遼太郎は戦後日本における有名な歴史小説家である。彼の多くの作品は映画化やドラマ化されていたので、作品の影響が広いといっても過言ではない。

『豊臣家の人々』が描いたのは日本の戦国時代に全日本を統一する偉業を成し遂げた豊臣秀吉とその身内の物語である。最初は『中央公論』に連載されていたが、1973年に入ると、単行本も出版された。全書は九つの短編小説でできている。すべて豊臣家のことを述べたが、各部分にはつながりがある。従って、この九つの物語は独立の短編小説でありながらも、一つに合わせばまた豊臣家の盛衰史と見ても良いであろう。

本論文は三章からなっている。第一章は、作者と作品について紹介した。第二章は司馬史観への研究現状と作品の中で司馬史観の表現を簡単に分析してみた。第三章では司馬史観が日本社会への影響とそれに対する正しい扱い方を分析してみた。第二、三章の研究に通じて、豊臣政権の盛衰と作品における歴史観が見られる。特に作品の主人公、豊臣秀吉への評価から司馬史観の独特さが分かれる。彼は朝鮮と明朝への侵略戦争を起こして、両方の民に災いを招いたと同時に、豊臣政権にも崩壊の種を埋めてしまった。本論は作者がその矛盾する表現をどう扱い、作品の文学性と史実のバランスをどうとるのか、またそれについて分析してみた。

『豊臣家の人々』の研究に通じて、日本における歴史小説の発展史をより深く理解するだけでなく、歴史観への理解にも役立つと思われる。

キーワード：司馬遼太郎　『豊臣家の人々』　歴史小説　司馬史観