村上春樹の人生観--『走ることについて語るときに僕の語ること』を中心に[日语论文]

要旨

『走ることについて語るときに僕の語ること』は村上春樹の唯一の半伝記で、走ることと小説執筆の相関性を語るエッセイである。1983 年のアテネマラソン期間での初マラソンの回想、2005 年度ニューヨークマラソンの準備期間などの感想をつづる。そして小説家としてのキャリアが、いかに「走ること」と連関していたかを述べる。1982 年秋、村上春樹は作家になったばかりの時期、走ることをはじめた。それから三十年も彼はずっと走っている。

本稿は『走ることについて語るときに僕の語ること』を中心にして、村上春樹の生涯からその走り始めた原因を分析し、そして、全文に貫いた村上春樹のマラソンに対する思考を通して、彼はランナーとしての人生観をうかがい知ることができると考える。一方、作品において書くこととマラソンの主な事件を列挙し、その中の関連性と村上春樹の人生観を表したところを分析して解明してみた。

本稿は以上の研究により、村上春樹の人生観について次のようなの観点を明確にした。一、走ることも、書くことも村上春樹にとってもっとも大事なことである。何十年も走っていた生涯は村上春樹の人生観の現実的な原因である。二、強い接続力と専念する集中力は、書くことと走ることにともに欠くべからざるものであると村上春樹は思っている。走ることから受けるのはまさに忍耐力と集中力そのものである。三、痛みは避けがたいが、苦しみはオプショナル。困難に向かって、村上春樹はかえって痛みに直面するようになった。四、一人で走り、一人で書き、独立思考している村上春樹は自由に憧れて世界各地を走っている。

キーワード：村上春樹 人生観 書くこと マラソン 独立心