中日怪談における女性キャラについて―『今昔物語集』と『聊斎誌異』を中心に[日语论文]

要旨

本論文は、日本の説話文学『今昔物語集』と中国の怪奇小説『聊斎志異』を研究対象としたものであり、問題点を女性キャラに絞っている。 

『聊斎志異』は中国の早期怪奇小説『捜神記』を伝承している。『今昔物語集』も『捜神記』から素材をとっている。しかし、全く異なる構成が現われている。

例えば、『今昔物語集』の女性キャラの大多数は人間性より、動物性に傾いている。人間味のある女性キャラも『聊斎志異』の女性キャラのイメージほどふくよかではなく、話の筋も起伏に富んでもいない。一方で、『聊斎志異』は、女性キャラに自由に愛情を求めるイメージを与え、女性キャラを善に富んだ人間のイメージにし、作品の描写の緻密さにもストーリーの豊富さにも新たな局面を開いた。本論文の重点は、両作品にある女性キャラを比較し、その相違点をもたらした理由を究明しようとする。

キーワード　今昔物語集;聊斎志異;女性キャラ