開高健『裸の王様』における「ぼく」の人物像分析[日语论文]

要旨

日本の戦後文学代表のひとつとして、開高健は1957年に『パニック』、『巨人と玩具』、『裸の王様』などの作品を前後に発表した。『裸の王様』は、開高健が第三十八回芥川賞を受賞することになった出世作であり、芥川賞の選考過程で大江健三郎「死者の奢り」と競り合うなど 、文学界にその名を知らしめた作品である。

今国内外の研究は多く開高健の精神主張に立脚し、作品に出現した児童画相関の理念、実用主義及び個人主義、開高健の芸術追求、或いはこの作品を通じて、当時の物質社会に隠された人性を埋める闇を深く掘り、開高健がこの現状に対する痛烈の批判を分析した。しかし、作品自体の人物描写、及び戦後普遍の大衆精神空虚の社会背景の中に放置された後、この作品が持っている時代性について、正式の研究課題はまだ少ない。

本稿は開高健の受賞作品『裸の王様』の「ぼく」を対象として解読した。主に作品の時代背景に立脚し、「ぼく」という人物像を分析した。第一章では作品に出た直接描写を通じ、「ぼく」は画についての知識も個人の感情も豊富の人であることがわかった。第二章では資本主義社会で利益最高主義を持っている大田氏が代表する商人との争いを結び合い、友人山口が戦後の金銭社会に負けたため、「ぼく」は彼との友情を放棄し、及び「ぼく」は大田夫人との数回の会見で現れる微妙な雰囲気を通じ、「ぼく」という人物の複雑さ及びその教育現状の傍観者というイメージを解読した。第三章に作者開高健の精神主張を通じ、「ぼく」という役を深く理解し、「ぼく」が代表する理想教育の観念は当時の社会背景で生まれた病的な価値方向を超えたということを得、「ぼく」の強烈な時代性とリード性を理解した。

キーワード：天性  児童画  教育  啓発性