池井戸潤が描いた銀行員の諸相ー「半沢シリーズ」をめぐって_日语论文

要旨

「半沢シリーズ」は池井戸潤の作品に重要な位置を占めている。元銀行員の池井戸潤が銀行内部の状況を題材として書くのは彼の特技の一つだといえよう。しかし、彼は今までに多く書かれた銀行ワルモノ論の作品をひっくり返して、大手都市銀行を舞台した一方、企業そのものに注目したわけではなく、そこに生きている人間を描き、エンターテインメント小説として書いたのである。まさに池井戸本人が語ったように、「まず人間ありきで次に組織だと考えています」ということである。

では、池井戸潤がいかに銀行員を描いたのかに着目し、本稿は「半沢シリーズ」を取り上げ、四部作における名場面とセリフを分析して、各階層における銀行員の人物像を考察する。本論文は池井戸潤の銀行小説を把握する最初の試みとして位置付けられている。

研究により、池井戸潤は主に「バブル世代」の銀行員の奮闘を描写し、屈することなく自分のスタイルを貫きとおし、弱さとズルさ含み、清濁併せ飲むという人間像が描き出されたと結論ができたのである。堅苦しい物語ではなく、共鳴を上げる面白さは池井戸潤の小説の特徴だといえよう。

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