《日本文化私观》中坂口安吾的日本文化论[日语论文]
「日本文化私観」における坂口安吾の日本文化論
要　　旨
坂口安吾は第二次世界大戦の頃、日本文壇における「無頼派」の代表作家の一人である。「日本文化私観」はドイツの建築家ブルーノ・タウトの同名著作を批判するために彼が発表した文化評論である。タウトの近代日本批判に対して、坂口安吾は「日本文化私観」で自分の反論を提出した。
本論文は「日本文化私観」を対象として坂口安吾の日本文化論を研究する試みである。まずは、安吾が作品の中で提示した四つの文化問題に対して、各章ごとに二つの相反しているキーワードを取り上げて分析し安吾の見方にたどり着く。次に、それらの見方の背後にある価値観と思想を探求し、ブルーノ・タウトの文化論と比較しながら坂口安吾の文化論の性質とその文化的意義を解明しようと思う。この二つのプロセスを通じて以下のような結論に至る。
坂口安吾の文化論は一見暴論のようであるが、その中に深い思想がひそんでいる。建築家のタウトの文化論との根本的な相違は二人の立っている立場の違いから由来するのである。安吾は「人間的」な目で日本文化を見、「人間生活」を評価軸として文化を考察するから、彼の文化論は「人間味」のあるユニークな文化論であると言えるだろう。
しかし、本論文では、「日本文化私観」と同時代のほかの文化論について知識が不足で、それをより多くの対象と比較することができないため、分析の足りないところがあると思う。ご意見・ご教示を賜ることができれば、幸いだと思う。
キーワード：坂口安吾，「日本文化私観」，日本文化