『徒然草』における無常観について_日语论文

要旨

『徒然草』は鎌倉時代末期、吉田兼好が創作された随筆で、序段を併せて244段から構成する。その内容は自然、人事、芸能、有職故実、奇聞逸話など多方面にわたっているが、全編を貫く趣旨は現世を「無常」と見る思想である。この「無常」は当時の人々の生活感情と末法思想、皇室の分裂、階級闘争の社会状況を反映する。作者が深い思索と鋭い洞察力によって、この世界の認識を展開している。『徒然草』の無常観に関して、西尾実が「無常を悲しんでいる詠嘆的無常観から自覚的無常観へ変化した」と指摘した。この変化を引き起こす原因は、主に時代、仏教、老荘思想などの影響が考えられる。本稿は４章に分けて、『徒然草』の無常観を分析し、時代背景と宗教思想の角度から自覚的無常観の成因を探究しようとする。

第一章は、仏教の無常観の概念と日本の無常観の発展を紹介する。第二章は吉田兼好の生い立ちと『徒然草』の創作背景の内容を説明する。第三章は、『徒然草』における無常観の表現を分析する。具体的にいえば、自然と生死の中に反映する無常思想で、なお詠嘆的無常観から自覚的無常観への変化の論証である。第四章は、以上の無常観の変化を踏まえて、時代と作者、仏教の「無住生心」と「現世を肯定する」、老荘の「無為自然」と「無待」、「天人合一」などの思想から自覚的無常観の成因を究明しようとする。

以上の検討を通して、『徒然草』における自覚的無常観を改めて思考し、『徒然草』の無常観の成因をもう少し明確にしてみたいと思う。これで、『徒然草』と無常観の理解をもっと進め、さらに新しい発見を得られるなら幸いだと思う。

キーワード：徒然草　吉田兼好　無常観　自覚　

目次

はじめに 1

１．無常観の概念 1

１．１仏教の無常観 1

１．２日本人の無常観 2

２.吉田兼好と『徒然草』 3

２．１吉田兼好の生い立ち 3

２．２『徒然草』の創作背景 3

３．『徒然草』における無常観の表現 4

３．１自然の無常 4

３．２生死の無常 5

３．３無常観の変化 6

３．３．１第三十段までの詠嘆的無常観 6

３．３．２第三十段以降の自覚的無常観 7

４．自覚的無常観の成因 8

４．１時代背景と兼好の洞察 8

４．２仏教の影響 8

４．２．１禅宗の「無住生心」 9

４．２．２真言宗の現世を肯定する生活観 9

４．３老荘思想の影響 10

４．３．１新旧交替の弁証法と「無為自然」 10

４．３．２無常の超克と「無待」、「天人合一」 11

おわりに 12

参考文献 13

謝辞 14