『藪の中』からみる真砂の女性像_日语论文

要旨

「大正文壇の鬼才」と呼ばれる芥川龍之介は日本新思潮派の代表的な作家であり、古典に対する再創作の才能と伝統に対する継承能力を強く持っている。芥川は日本の歴史物語などの古典文学から栄養を吸収し、芸術の上で再創作により、『今昔物語』のような古典原著と違った文学作品を創作した。彼にとって、伝統は既定な存在ではなく、再創作である。芥川龍之介の代表作とする『藪の中』は歴史物語の『今昔物語』を材料にした短編小説である。この作品は、多数の主人公の視点で叙述する方法が採用され、エゴイズムの表現に対して新しい考え方が開拓された。だが、この作品を通して、複雑な人間性が見えるのみならず、無意識に流露した男女地位の不平等も窺える。そして、芥川氏十年以上の創作生涯を研究してみると女性の描写に独特な癖があることも見える。芥川龍之介の描いた女性のイメージは固定の特性を持っている。

本論文は先行研究をもとにして、作品の中で不確定の叙述によって、事件の真相にこだわらず、真砂の形象を全体として取り入れようと思っている。当事者の三人の矛盾した発言で真砂に関係する描写をめぐって、強盗の多襄丸と武士の武弘を中心とした男性及び女性とした真砂自身から、『藪の中』における真砂という女性の人物像の基本的な特徴を研究しようと思う。ひいては、作品の作成背景と社会観念などと合わせて、その女性像が生み出された原因を分析し、この作品に隠された社会現実を探求する。

本論は「はじめに」、「本文］、「終わりに」という三つの部分から構成している。

「はじめに」では、先行研究をまとめ、本論の研究対象、研究背景、研究意義を紹介する。

「本文」は三つの章からなっている。第一章には芥川龍之介とその作品『藪の中』を紹介する。第二章には、小説の中で独立の三つの叙述を通して、真砂の形象を論じてみる。第三章には、その形象を形成する原因を探求する。

「終わりに」では、男女の立場によっては真砂の形象についてよい点も悪い点もあり、作品の中で男性覇権主義が見え、女性が劣勢に置かれて圧迫された境遇に陥るという結論に達した。

キーワード：『藪の中』;真砂;女性像;社会現実    

目次

はじめに 1

1.芥川龍之介及び『藪の中』 1

1.1芥川龍之介について 1

1.2『藪の中』について 2

2.『藪の中』における真砂の女性像 3

2.1気の強い女性 3

2.2冷酷な女性 4

2.3反抗的な女性 5

3.女性像の形成原因 5

3.1社会背景 5

3.2貞操観の圧迫 6

3.3不平等の男女地位 6

終わりに 8

参考文献 9

謝辞 11