『破戒』に見られる作者島崎藤村の自我覚醒_日语论文

要旨

島崎藤村は日本の近代文学史上に重要な位置を占める詩人であり、小説家でもある。藤村の作品を通して、作品の自己性を発見することは難しくない。初期の浪漫主義詩歌集に現れた積極的な自我、中期の自然主義小説における闘争精神に満ちた自我および後期の私小説にて見られる矛盾な妥協した自我、その三つの時期に出てきた自我の意味は以上のごとくそれぞれの意味あり特色もある。

創作の早期、作者は詩集『若菜集』や『一葉舟』や『夏草』を通じて、封建主義の束縛と抑圧を突き破る願いから、自我意識の芽生えが見られる。中期、藤村は小説『破戒』に自我意識の覚醒を遂げ、日本の自然主義を切り開き始める。それは部落民出身の苦悩に陥る自我覚醒の道に歩んでいた小学校の教師という人物を通じて、当時の社会矛盾を深刻的な反映でもあるし、個人の自我覚醒から日本社会全体に向ける自我覚醒への転換でもある。創作末期、『春』『家』などの代表作品は、藤村の自我覚醒が薄れつつでありながら、最も真実な自分を記録したものである。本研究は中期の代表作である『破戒』に現れる自我覚醒を重点とする試みである。

本論文は、自然主義の代表作『破戒』を中心に、作者の創作中期の自我覚醒を研究する目的をもって、作品の社会背景と島崎藤村の生い立ちを踏まえて、藤村文学の軌跡の発展と自我覚醒の関係を探求する。そして、作品に取り上げた部族差別を分析し、作者の自我覚醒のきっかけを見出した。また、主人公の瀬川丑松の「自我覚醒」の変化を通して、作者の実生活が『破戒』という小説との緊密な関係を論じてきた。最後に告白という創作方法の運用によって、『破戒』に表れた藤村の自我覚醒を発見することで、日本文学が自然主義への必然性を論述してみたい。

キーワード：島崎藤村；『破戒』；自我覚醒；部落差別；思想変化

目次

はじめに 1

1.島崎藤村に関する中日両国の研究 1

2.島崎藤村の「自我覚醒」と文学の軌跡 2

2.1 自我矛盾、自我分裂の社会背景 3

2.2 自我覚醒の道へ向かう作者 3

2.3 文学軌跡の発展と自我覚醒の関係 4

3. 『破戒』に現れる藤村の自我覚醒 5

3.1 部落差別から社会の現状へ 5

3.2 自我覚醒に目覚めた人物 6

3.2.1 哀れな覚醒者丑松という主人公 6

3.2.2 丑松から見る藤村の自我覚醒 7

4. 『破戒』小説としての描写手法から見られる自我覚醒 8

4.1 私小説と社会小説から見る両者の違い 8

4.2 告白の手法から形成された『破戒』の特色 9

終わりに 9

参考文献 11

謝辞 12