先行研究
日本では、『日本人の家族観 変化する意識・変化しない制度』(千田 有紀.2013)は変化の兆しを露呈している日本人の家族観を読み解いている。日本の家族を取り巻く制度や現実には伝統的な価値が強く反映され、他の先進国で起きている変化があまり見られない。法律は夫婦別姓や同性婚を認めず、法律上、結婚していない男女の間に生まれる子どもは少ないという。『「少子化」より深刻な「非婚化・晩婚化」問題』(10MTV編集部. 2017 )は少子化よりも深刻なのは、不婚晩婚であり、1989年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子どもの推計人数)が、1966年いわゆる丙午の1.58を下回ってしまった現象が深刻だと指摘している。『人口学からみた性別—晩婚化・非婚化の原因と展望』( 情報誌「岐阜を考える].1999)は社会の大きな関心を集めている少子化は,夫婦一組あたりの出生児数の減少によってもたらされている一方, 晩婚化・非婚化の最大の要因は一体何か, さらに今後どうなっていくかを, 性別差の観点から考察している。 『日本における性別役割分業 ─女性力と「育メン」現象の関係』( 石井クンツ昌子 .2018)は女性力を活用するためには、女性のキャリア形成 と就業継続が可能な社会を作り上げることであり、そのために、男性の育児・家事参加はそれらを促す働きを持っていると考え、女性の就労と育メン現象との関連について考察する。
中国では、『浅析日本女性之社会地位演变』(唐钰滢 赵珂.2012)は日本の女性は静かで穏やかな印象を与えているが、社会的地位が低下し、自己意識が乏しいことも知られている。時代の変化につれて、多くの日本人女性の結婚観、価値観などが変わってきて、この変化は日本社会全体に影響を与えていると分析する。『日本1/3单身女性生活贫困 男女贫富差距加大』(宇桓.2011)は厚生労働省が日本の労働人口について行った調査によると、日本の適齢労働人口の中で、独身女性の経済状況が最悪で、1/3の独身女性の生活は貧しいと指摘している。『日本走向“超单身社会” 男女原因大不同』(钟玉岚.2017)は約1/4の日本人男性は50歳までに結婚したことがないが、約1/7の女性もそうだった。「生涯未婚率」が上昇し、未来日本は「超独身社会」に入り、「独身大国」になると指摘している。『日本正面临“绝种”?』(楚不易.2017)は日本では未婚率がたえず上昇し、出産率は直線的に低下して、日本の学者によると、1000年後日本では新生児が生まれなく、「絶種」の危機に直面すると報道する。『从日剧看当代日本女性的婚姻观—以《不结婚》为例』(王蓓蕾 陈咏梅 .2014)は2012年のヒットドラマ「結婚しない」と結び付いて日本社会調査データを利用して、現代日本女性の結婚観を考察する。少子化、高齢化は日本の見逃せない二大社会問題であり、日本人の晩婚晩育現象、特に日本女性婚育意識の巨大な変化は、上述の問題の重要な原因の一つになっている。ますます多くの映画作品も現代日本女性の婚姻観を反映していると述べている。
研究の背景と目的
今回の論文は未婚、晩婚化しつつある日本人女性を中心に、それに関わる社会現象やそこから引き起こされた社会問題について議論する。
経済発展に伴って、人々の生活水準もどんどん向上している。今の若者は結婚に対する態度が大きく変わった。多くの若者は、遅れて結婚し、乃至結婚しないことを選ぶ。家庭の完璧を重視する東方文化圏においてこの現象はますます人々に注目されている。ここ数年、日本は最も代表的な独身大国として、その「超独身社会」に暮らす日本の独身女性の状況を研究することは、大い価値があると思う。「独身」は若者の配偶者問題だけではない、国家の発展にも影響する社会問題とされている。したがって、この問題を討論し、研究することは非常に有意義なものであろう。
なぜ独身の女性が増えているのか?どうして彼女たちは独り住まいをしても結婚したくないのか。彼女たちの独身生活は彼らにとって得なのは何だろうか?いったいどんな理由で彼女たちは独身を選んだのか?今の日本社会では、女性の非婚・晩婚現象が現れて、どのような社会問題をもたらしたのか?このような社会問題は、悪化する可能性があるかどうか?日本政府はこのような非婚、晩婚現象による社会問題に対して、どんな対策をとったのか?
物事を分析するときは、その事の主体から手を入れるべきであろう。独身の女性を研究したいなら、まず、彼女たちの独特なグループを理解しなければならない。独身女性というグループが生まれたのは,決して一度でけりがついたというものではない.。女性の発展史から見なければならない。日本では、昔から、男性の地位は女性の地位よりも高い。しかし、社会の発展と文化の普及につれて、女性の社会的地位も絶えず向上している。独身女性というグループの拡大も、ある面で,精神的独立と自分の将来への自主選択権を持つようになることを説明する。女性にとって、これは大きな進歩だ。日本では、多くの女性は結婚後の家庭に配慮し、自分の仕事を辞めて専業主婦になる。それから一生このような生活状態をもちづづけていく。子供が成長してから再び社会に出て仕事をしようとするが、長い時間社会から脱線して、理想的な仕事を見つける可能性は非常に小さい。