一.研究の背景 

日中の両国とも、歴史的に様々な宗教が存在してきた。これらの様々な宗教に対して、日本人は極め曖昧で受容的な態度を持っている。そして、全体として見ると、中国人の生活に対する宗教の影響力は弱まっている。しかし、70年代末から始まった経済改革、対外開放の進行とともに、中国の若者の宗教を追求しようとする傾向も、近年注目されてきている。また、70年代後半、中国現代青年意識と観念に変化が表れいう働きが現れ、精神構造と意識観念において、大きな変化がみられるようになった。

二.研究の目的と意義 

ここ数十年、科学技術の進歩は経済の発展を推進して、様々な人材を育成している。高速に科学的に発展する今日においても、宗教の存在している。宗教は観念であり、人々に心の中に存在するものである。

  20年前の中国の政治圧力の結果、中国の人々は宗教の問題について話せなくなったのではないだろうか。実は、昔から宗教に関して自由ではなかったが、今はこの政治圧力の影響がさらに強くあるのではないのだろうか。しかし、地域によって、宗教信仰に対する態度が違うだろう。日本の大学生たちは宗教に関してどのように考えているのだろうか。中国の大学生とどのように違うのだろうか。 

日本青年と中国青年の宗教態度と意識の比較調査については、現在の日中青年の宗教に対する考え方は以前と大きくいなっているのではないだろうか。 そこで、本稿では日本の大学生と中国の大学生の宗教態度に関するアンケート調査で調べ、大学生のを宗教態度比較し、その違いを明らかにする。

三.先行研究 

張日昇・高木秀明の「大学生の宗教態度と宗教観に関する日中比較研究」は日中大学生の宗教態度について述べ、第三宗教ブームの時代ともいわれ(大村、1998)若者の宗教的関心と宗教行動の増加が指摘されていると述べている。 

鈴木大拙は“霊性”という言葉を“spirituality”の訳語として定着させた人物であり、彼の代表的著作である「日本的霊性」は日本人の宗教意識が鎌倉時代の禅と浄土系思想によって顕現したと述べている。それでは、鈴木大拙は鎌倉時代の禅と浄土系思想によって日本人のスピリチュアリティが顕現したと考えたのか、〈造り変え〉という視点から考察を行っていきたい。 

芥川龍之介の『神神の微笑』は日本とキリスト教の接触を主題とした「切支丹もの」と呼ばれる著作の1篇であり、その内容はキリスト教を布教するために来日した宣教師オルガンティノと老人(日本の古代神)との接触が中心となっている。 

高木秀明・吉田富二雄・森美奈子は大学生の宗教意識に関する研究の結果から、「宗教を行ったり、信仰を持ったりする大学生は肯定的な宗教観を持っている」と指摘した。