1.『当代语用学』姜望琪(2003)北京大学出版社
「語用学」は言語学の各分野の中で、言語の意味を対象にして研究する新しい学科であり、言語の理解と使用をもっぱらに研究する学問でもある。特定のシーンに使用される特定の言語や文脈を通じて言語を理解する方法を研究するともいえる。「語用学」では自身の目的性や価値性が文法の研究と違い、人間の言語そのものに関する研究である。言語の使用中には、話し手はただ言語の成分や符号の単位の静態的な意義を表現しようとするだけでなく、聞き手は一連の心理上の推断を通して、話し手の意図をよりよく理解しなければならない。
この本は当代における語用学の研究に重要な役割をしているのである。まず、語用学の基本的定義や語用学理論を簡単に紹介し、語用学と言語の研究の関係を説明した。それから、語用学に関するいろいろな理論を詳しく説明し、最後、語用学の成り行きを分析してみた。この本は各方面に触れながら、語用学の研究に大切な資料であるといえる。
2.「日语口语中的“助詞省略现象”探究」王鹏飞『日语学习与研究』2004 第4期
助詞の省略現象については、日本の学者をはじめてすでに研究してみる。藤原(1992)は助詞の省略は話し言葉のうち動能的機能を有するに限られるとされ、助詞の省略には、義務的なものと随意的なものがある。随意的な助詞省略は聞き手に対する親近感を表す。義務的な助詞省略は対者敬語に相当する機能を持っているとされている。
また、長谷川(1993)は「助詞省略」をふたつに分割された。つまり、助詞がなくても格関係が特定できる単なる格助詞の省略場合、および独自の機能を持つ場合である。
3. 「日本語の省略文に関する考察」杨钢 『教育时空』2009 第9期
日本語の省略表現は独特な特徴を持っているので、それらの特徴を理解し、身につけなければ、省略文をうまく使用することはできない。それで、先行研究を踏まえ、中国人の日本語学習者の視点から、数多くの実例に対する分析を通して、日常会話によく出てくる文末省略表現を対象にして考察した。実例の分析と結果のまとめを中心に構成した。具体的には、次のようなことを掲示してみた。まず、近年来日本で上演された5本の連続テレビドラマから、文末省略表現のある会話実例を文字化して、研究データを作り上げた。それから、このデータを素材にして、文末省略のパターン、文末省略から見られる話者の発話行為、文末省略表現の働き、文末省略の使用原因などの領域で考察を行った。考察の結果は以下の通りである。
(1)文末にある品詞には助詞、副詞、接続詞、名詞、代名詞、形容詞、形容動詞、動詞、助動詞、感動詞があるが、一番多いのは助詞で、次は副詞と名詞である。助詞と副詞と名詞は考察総量の87.73%を占め、助詞には、接続助詞、格助詞と取り立て助詞の3種類が多く、助詞総量の94.02%を占めている。文末省略表現を習得するには、以上の諸品詞類を重視する必要があると考える。
(2)文末省略から見られる話者の発話行為に関する考察を行い、結果として、文末省略表現は陳述、説明、応答、命令、要請、勧誘、疑問、言明、断り、躊躇い、回避、批評、不満、許可、後悔、心配、お詫び、挨拶、被害の19種類の発話行為が実施できることが分かった。その中では「疑問、説明、不満、断り、回避」の5種類の発話行為を実施する場合には文末省略表現の使用量が比較的多く、考察総量の71.08%を占めている。
(3)省略表現の働きにおいては、コントロールの視点から見れば、会話は「簡潔性を求める」、「情報の焦点を強調する」、「話題を促進する」の3種類の働きが実施できることが分かった。対人関係に視点から見れば「婉曲を求める」、「他の意味を暗示する」、「話者の内緒を守る」、「マイナスことの言明を避ける」、「焦る気持ちを表す」、「新しい情報を要請する」、「相手の負担を配慮する」の7種類の働きがあることが分かった。
(4)使用原因として、文化、生活環境の面では「集団意識を重視する」、「『沈黙は金なり』を推賞する」、「含蓄の美意識を追求する」の3つの点が考えられ、また、日本語特徴の面では「助詞」、「副詞」、「接続詞」、「名詞」、「代名詞」などの諸品詞の役割が無視できないと考える。