宮崎駿は日本の代表的なアニメーションマスターである。彼は空想的な想像力を発揮すると同時に、戦争や自然や信仰など、これまでのアニメの中で触れされていない深いテーマを自分の作品によって表現されて、アニメに深い人文主義思想を与えられる。
宮崎駿と彼の作品についての研究論文はたくさんある。主に四種類に分かれる。第一種類は、宮崎駿それ自身に対する研究である。宮崎駿の特性を分析して、アニメ映画の陰に隠れた純粋な心を論議する。たとえば苗渲明の『宫崎骏:纯粹的动画、纯粹的人』(『大众电影』,2009年01期)や Kaltの 『寂寞高手 动漫诗人—日本动画大师宫崎骏』(『电影文学』,2004年12期)など。第二種類はアニメ映画技術の面からの宮崎駿作品の研究である。芸術の形、色彩の運用、音楽、言語、美術デザインなどの視点から映画の内容を研究する。たとえば米斯茹の『 宫崎骏电影之影视语言分析』(『电影评价』,2008年10期)や王石磊『论音乐在宫崎骏动画电影中的运用』(『电影评价』,2008年22期)など。第三種類は宮崎駿のアニメ映画の中の人文元素についての研究である。その中に、彭修银、郝娟の『宫崎骏动画中意象体现的日本民族审美特质』という論文は日本民族の美意識から宮崎駿の作品を分析した。アニメを大和民族の美意識の背景に置いて、植物美学観、万物有霊論、尚武精神、飛行の憧れなど日本民族的な美意識から宮崎駿の映画を解読する。黄涛の『从宫崎骏的动画片看日本人的自然审美观』、杨学太の『宫崎骏动画作品之美学探析』などの文章も美意識と文化の角度から宮崎駿の作品を分析する。第四種類は宮崎駿が作ったアニメ映画のテーマについての研究である。この類の文章は多数を占める。主にテーマの角度から宮崎駿のアニメを分析して、映画の内容を解読する。彼の作品のテーマは女性、子供、成長、飛行など。たとえば沈约の『宫崎骏动画系列中的女主角类型探析』(『电影文学』 2009年02期) 张红秋『成长的可能性—宫崎骏动画电影主题研究』(『电影评价』,2006年11期)など。
飛行も宮崎駿の作品の中の一つのテーマである。卢骁の『解读宫崎骏作品的人文魅力』の中に、飛行は一つの特色として触れた。宮崎駿のアニメ世界では、飛行は永遠の主題である。宮崎駿からみれば、空で飛ぶ時は一番すばらしい。飛行はただの技能ではない、ほかの意味を与えられる。なぜ宮崎駿はこのように「飛行」に憧れているのであろうか。宮崎駿の紹介から見れば、宮崎駿の家庭環境に関係があるようだと言えそうである。最初に分かりやすいのは、宮崎駿の伯父が飛行機工場を経営しており、そして父もその工場で働いていた時期があるということである。宮崎駿は身近に飛行機を見ることができる環境にあったために、飛行機に熱中するようになったのではないだろうか。彼が子供の時代は第二次世界大戦が終わった直後で、飛行機が大きく発展した時期である。当時の飛行機は、全部人間が組み立てたもので、パイロットと飛行機との一体感が感じられるため、宮崎駿の飛行機趣味はその時代の飛行機こそ美しいというかなり頑固な一面がある。『紅の豚』で見られる飛行機の様子は、宮崎駿が自分のマニアックぶりを表現したものなのかもしれない。宮崎駿の飛行機に対する熱愛について、叶(2006)では、「宮崎は、少年時代から飛行機・戦闘機・戦車などに深い興味を抱いており、それらの模写やイラストを大量に描いていた。その趣味が、模型誌に数多くの連載を持っていた大塚康生の目にとまった。七一年には大塚の誘いで、老舗模型誌『月刊ホビージャパン』(ホビージャパン)にイラストを提供した。七九年には『赤毛のアン』の舞台設計中、鳥瞰図に単葉機を描きこんだこともあった」と述べられており、飛行機を熱愛しているうえ、深く研究していたことが分かる。彼の作品の中での飛行道具もいろいろある。とにかく、宮崎駿の作品は飛行を通して、自由と理想を表す。飛行は現実世界から脱出する意や束縛から解放するのを象徴して、自由と理想の世界へ飛び行く。宮崎駿は飛行のシーンを通して、観衆に自分も主人公と一緒に飛び出して、夢が現実になるような喜びも感じられる。