译文:
她作为一个备受瞩目的转学生,为什么会在这里。
完全没有了在教室所看到的端庄、沉静、稳重,小余绫盛气凌人地手掌支在桌子上俯视着我,细长而清秀的双眸尖锐地瞪起来,要喷出火一样。成濑也是,被这个没见过的人物的突然介入吓得困惑地后退了几步。
我看向门口,九里正在微微的耸着肩。小余绫诗凪没有管我的困惑,继续说道:
“听说小说没有力量?那是你写的小说什么力量都没有,我说错了吗。外行人不要像斗输了的狗不像样的在远处嚎叫好吗。”
“我…”
斗输了的狗的远吠?我是外行?
“开什么玩笑!”意识到之后我从椅子上站起来,挑衅似的朝小余绫诗凪瞪了回去。“一切自然有数据证明。读了小说后世界上的战争消失了吗?霸凌现象消失了吗?对预防自杀起作用了吗?小说如果有这些作用的话,为什么只有一点点的人对小说抱有兴趣?仅仅知晓一部分市场的你不要好像全知道似的说话。”
然而小余绫诗凪对我说的话神情完全没有变化。
她淡然地看着我,微微冷笑起来。
“以那种幼稚的对事物的看法是接触不到故事的, 真是悲哀啊。”
和在教室的举止气氛截然不同,小余绫诗凪的双眼看到哪里都是冷冰冰的、傲慢的。
“那这么说,你也相信小说能感动人心这种愚蠢的想法咯。”
我忍着怒气问,小余绫静静地点了点头。
为什么,对她看向这边的轻松的眼神,我感到气势被压倒了。
小余绫诗凪把手架在胸前,有些自豪的说:
“小说影响我们的人生,存在着很大的力量。”
“究竟……是有什么根据能让你说出这种愚蠢的话。”
于是她拂了拂头发这样说:
“那不是理所当然的事。”
这倒是很实在,像是普遍的事情一样。
“因为我,能看见小说之神。”
“……”
不知道她说的什么意思。
我想我一定是一脸糊涂的样子吧,张大着嘴巴,看着她自豪的表情。
然后小余绫好像看厌了无聊的画一样背过身去,看着九里。用一只手指着我说:
“九里,我跟不能喜爱小说的人处不来的。对不起啊,还要你特意来邀请我。”
我看到九里闭上了眼睛稍稍叹了口气。
漂亮的转学生一个转身就离开文艺部的房间走了。轻柔的黑色长发飘散开来,空气中弥漫着淡淡的香味。
在残香之中,我感到无话可说的焦躁。因炫目而焦躁的灰烬复苏一般再次燃烧起来,自己积蓄热量燃烧起来。
“小说…不会有力量的吧。”
我只能盯着小余绫诗凪消失的门口这样呻吟着。
原文:
注目の転入生である彼女が、なぜかそこに居た。
教室で見かけた淑やかさ、静けさ、落ち着きといった雰囲気をまるで脱ぎ捨てて、小余綾は肩を怒らせていた。掌を机に叩き付けた姿勢で僕を見下ろし、切れ長の双眸を鋭く尖らせて、ぎらぎらと火を噴いている。成瀬さんも、見知らぬ人物の突然の介入に、困惑した様子でたじろいでした。
戸口に目を向けると、九ノリが小さく肩を竦めているところだった。僕の困惑などお構いなしに、小余綾詩凪が続ける。
「小説に力がない、ですって――? それは、あなたの書いた小説がなんの力も持っていない――、の間違いじゃないの?素人が、負け犬の遠吠えみたいにみっともなく騒がないでほしいわ」
「なっ…」
負け犬の遠吠え。僕が素人だって?
「ふざけるな」気が付けば椅子から立ち上がって、挑むように小余綾詩凪を睨み返していた。「あらゆることは数字が証明している。小説を読んで世界から戦争が消えたか?いじめがなくなったか?自殺防止に役立ったか?小説にそんな力があるのなら、どうしてほんの僅かな人しか小説に興味を持たない?市場の一部分だけしか知らない君の方こそ、知ったような口を利くんじゃない」
けれど、僕の言葉に対して小余綾詩凪は、まったく動じることがなかった。
むしろ平然と僕を見遣り、微かに鼻で笑って見せる。
「そんな幼稚な捉え方でしか物語に触れることができないなんて、とても哀れね」
教室での振る舞いや雰囲気と打って変わり、小余綾詩凪の双眸はどこまでも冷たく、どこまでも生意気なものだった。
「それなら、君も小説が人の心を動かすなんて、馬鹿みたいな考えを信じているのか」
むっとしながら問うと、小余綾は静かに頷いた。
どうしてか、すっとこちらを見定める視線に、僕は気圧される。
小余綾詩凪は、自身の胸元に手を押し当てて、どこか誇らしげに告げた。
「小説には、わたしたちの人生を左右する、大きな力が宿っているわ」
「いったい…、なんの根拠があって、そんな馬鹿げたことを言えるんだ?」
すると彼女は、髪を払いのけながら、こういった。
「そんなの、当然のことじゃない」
それが、さも当然で、普遍的なことであるかのように。
「わたしには、小説の神様が見えるから――」
「…」
意味が分からない。
僕はさぞや間抜けな顔をしていたのだと思う。ぽかんと唇を開けて、彼女の勝ち誇ったような表情を見ていた。
それから、小余綾は退屈な絵画を見飽きたかのように僕から顔を背けて、九ノ里を見遣った。片手で僕を指し示しながら言う。
「九ノ里くん、わたし、物語を愛することのできない人とは、一緒にいられないわ。せっかく誘ってもらったのに、ごめんなさいね」
見れば、九ノ里は目を閉ざして小さく吐息をついたところだった。
美貌の転入生はくるりと身を翻し、文芸部の部室を去って行く。さらりと長い黒髪が広がり、甘い薫りが漂った。
その残り香の只中で、僕は言いようのない苛立ちを憶えていた。眩しさに焦がされた灰が、甦るように再び発火し、自ら熱を蓄えて燃え上がっていく。
「小説に…、力なんてあるわけないだろう」
小余綾詩凪が消えた戸口を見つめながら、僕はそう呻くことしかできなかあった。