译文:
心头的悸动让我感到烦躁,但却又抓不住。
连自己心中的悸动都抓不住的话就只是不入流的小说家。
“成濑,你想写什么样的小说呢?”
虽然不是有什么特别的兴趣,我还是靠在椅子上开始问她。
“我……”
嘶——为了要说出想法,她吸了一大口气。
“我想写有力量的小说,能触动心灵的……”
成濑秋乃的双眸在眼镜的背后闪耀着光芒。
“我以前读了那么多小说,所以我就想要是能写出那种感动人心的小说该多好啊、要是能成为那么厉害的作家该多好啊……”
“小说——是能打动人心的吗?”
等我意识到的时候已经从嘴里说出来了。
“嗯?”
我像是要躲避他疑惑的双眼似的,转头朝壁橱看去。那里收藏的是沐浴在夕阳下变了色的古旧袖珍书,和在这里制作出的许多部门杂志。我一边想着那里被装订起来的武术文字的排列组合,一边仔细听我这张嘴说了什么。
“纵然有多少小说是写爱情和勇气的,那也是传递不到人们心里的。小说不会使任何人的心发生颤抖。也感动不到谁,也进不了谁的内心。那种力量充其量也只是文章本身所带有的。”
“可是……”
“仅仅是创作出来的小说会有什么样的力量?”
我一边看着壁橱里积压的无数印刷物,一边饶舌地说道。就好像编小说,语言自然而然地就出来了。
“爱情是美妙的,友情是美好的。我们在合上书的时候会为那些虚构的情节而流泪,可是第二天呢,不还是什么变化都没有吗。成濑你说你从读过的小说中学到了东西,是真的学到了吗?仅仅是学到了但实际转变却一点都没有,不是吗。仅仅是感动、流泪和慰藉,这些并不能从我们的内在升华我们,只会慢慢流逝。”
只是废纸而已。
所谓作家,只是单纯的量产这些的职业而已。
小说拥有力量这回事,决不能搞错!
“我……”
“总之——小说,是任何作用都没有的。”
成濑目瞪口呆地望着我。
我感觉好像稍微讲过分了。但是她所释放的纯真、炫目的光芒,却已足够使我早已坚定下来的信念焦躁、动摇。什么嘛、还说什么写小说的方法。如果有这种东西我也想学学。你不依靠别的东西就写不出小说吗?就这种程度的信念还想要写小说吗?
但是在我把这些话说出口之前,身后传来了开门的声音。不用回头我都知道是九里来了。因为会来这个教室的人不算成濑秋乃这个例外,除了我就只有他一个人了。
但比我料想的还快,外面响起了毫无顾忌的脚步声——。
白皙的手掌、流星般飞入我的视野。
又改为轻柔地拍在会议桌上,开始滔滔不绝的说起来。
“你能别说这些蠢话吗?”
冷不防插进来的话,有些突然地打乱了我的思绪。
“不要无谓地重复这些偏见、说一些没有实际内容的东西,好歹也是文艺部的人,给后辈灌输这些话,不觉得羞愧吗?”
我无语地回头看这个闯入者。
原文:
この熱をと感じる心の動きが、掴めない。
自分の心の動きすら掴めないなんて、小説家として三流以下だ。
「成瀬さんは、どんな小説を書きたいの」
とりたてて興味があるわけではないが、椅子に腰を下ろしながらそう訊ねた。
「あの、わたし――」
すぅ、と、想いを吐き出すために、空気という動力を吸い込む音がした。
「力のある、小説を書きたいんです。人の心を、動かすような――」
眼鏡の奥にある、成瀬秋乃の双眸は、煌めいていた。
「今まで、たくさんの小説に助けてもらってきました。だから、わたしも、そんなふうに誰かの心に響く小説を書きたいなって…。そんなすてきな作家になれたらなって…」
「小説が――、人の心なんて動かすものか」
そう漏れた言葉が、自分の唇から出てきたものだと意識するまで、時間がかかった。
「え…」
戸惑う彼女の双眸から逃れるように視線を外し、戸棚を見遣る。そこに納められているのは、夕陽を浴びて変色した古めかしい文庫本と、ここで生み出された部誌の数々。そこに綴られている無数の文字のを想いながら、この唇が語る言葉に耳を傾けた。
「物語がどれだけ愛や勇気を語ったところで、それは人の心には届かないよ。小説は誰の心も震わせない。誰にも響かないし、誰の心にも届かない。そんな力を、たかが文章が持ち合わせているはずないだろう」
「でも…」
「たかが創作の物語に、なんの力がある?」
戸棚へと無数に押し込められた印刷物を見ながら、饒舌に語った。物語を紡ぐように、言葉は自然に溢れていた。
「愛って素晴らしい、友情って素晴らしい。そんなおためごかしに涙を流しながら本を閉ざして、けれど僕らは、明日からなにも変化しないじゃないか。成瀬さんは、読んだ小説からなにかを学んだことって、本当にある?それって、学んだ気になっただけで実は実行に移したことなんて一度もないんじゃないの?感動だけして、涙だけ流して、気持ちよくなるだけ気持ちよくなって、それを自分の中で昇華させることなく終わりにしているんじゃないか?」
ただの紙くず。
作家とは、それをひたすらに量産する職業でしかない。
小説に力があるなんて、勘違いしては、いけない。
「わたし――」
「つまるところ――。小説なんて、なんの役にも立たないってことだよ」
成瀬さんは呆然とした表情でこちらを見ていた。
少しばかり、言い過ぎたのを自覚する。けれど彼女の放つ無邪気で眩しい光は、僕が培ってきた理念を苛立たしく焦がすのには充分なものだった。そもそも、なんだよ、小説の書き方って、。そんなのがあるなら、僕に教えてほしい。きみはそんなものに頼らないと、小説を書けないのか?そんな程度の信念で、小説を書こうとしているのか?
けれど、その言葉を口にするより早く、僕の後ろで扉が開く音がした。振り向かずとも、九ノリがやってきたのだということがわかる。この部室を訪れるのは、成瀬さんという例外こそあれ、僕を除けば、あとはもう彼しかいないからだ。
しかし、想定よりも速いつかつかとした足音が鳴り――。
白い、てのひら、が、視界を流星のように駆け抜けた。
しなやかに翻ったそれが会議机を叩き付けて、びりびりと耳朶を震わせる。
「馬鹿なことを、言わないでもらえるかしら」
突如割り込んできた声は、僕の意識を不意打ち気味に殴りつけた。
「ぐだぐだと偏ったものの見方で中身のないことを語らないで、まがりなりにも文芸部の人間がそんな話を後輩に吹き込んだりして、恥ずかしくないのかしら――」
僕は唖然と、その闖入者を見返す。