译文:
“怎么办。要不要到京桥对面,去奥林匹克店里坐坐?还是说赶快穿过西边小巷子去SUEHIRO附近看看?虽然也不一定是去找堂岛啦。”
加奈江询问明子意见。
“也是。不知道为什么总觉得走西边小巷子这边好呢。”
还没等明子说完,两人就拐进西边的路上了。
“看!那里,就是上次我们看到一个貌似堂岛的人做出租车的地方。”
明子突然想起来指着那儿说。两人原本放松的表情突然变得严肃起来。来到资生堂的横丁交叉路口,五个酩酊大醉的人搂着肩从附近咖啡店走出来。接着一个踉跄跌到加奈江面前,摇摇晃晃蹭着肩膀走了。
“喂!那不是堂岛吗,右边数第二个。”
明子拽着加奈江的胳膊叫喊着提醒她,加奈江早就像瞄准了猎物一般,追到男子身后。
——拜托这一群人分开吧,留堂岛一个人就好了——加奈江非常着急。
再加上想知道堂岛有没有发现自己。望着堂岛的背影想了想,特意低头的话又显得很奇怪。两人整整跟了半条街。这时候堂岛突然回头看。
“堂岛,我有话跟你说,你等一下。”
加奈江看准时机抓住堂岛外套向后拽。明子也铆足了劲抓住他的外套。堂岛敌不过两个女人使出的浑身解数,没能逃脱。
原本五个人一排变成了以堂岛为中心的V字型。
“哟,不错哟,堂岛你真有魅力啊。”
后面四个貌似同事的人松开了相互搭着肩膀的手,一脸不可思议地围在加奈江她们身边。
“不不,不是你们想的那样。不好意思。”
于是堂岛就这样被加奈江她们抓着外套后面,与那四人分开朝西边的小巷子里拐进去。来到没人的地方堂岛停下了脚步。
生怕一松手就让堂岛逃走,紧紧死揪着外套的加奈江心头涌上那时的恨意来,手里越发攥紧,此刻情绪也变得激动起来。
“为什么打我?莫名其妙打人,实在是太卑鄙了。”
加奈江流着泪以至于看不清堂岛的脸。泪水中回忆起那天之后自己悲惨的日子。
堂岛只是满脸不可以思议得站着。明子时不时推推加奈江的肩膀,反复地拍着催她。虽然加奈江在女校读书时也会和朋友吵架,但是却从来没动过手,因此对于加奈江来说打男人耳刮子这种事是怎么也做不来的。
“太过分了。太过分了不是吗。”
加奈江一遍一遍愤怒地说着,越说越激动,情绪也随之激动起来。
“既然你打了我,我也要打还回你。不然我实在气不过。”
加奈江终于打了他一巴掌。
但打时却担心会不会把脸打歪了,或者打出鼻血之类的。扇巴掌的手敏感地感受到男人流下的汗液,加奈江不由得向后退了一步。
“再狠狠打啊。还有利息呢。”
明子虽在旁边怂恿她,加奈江却没勇气再打他了。
“喂喂,还带到这么偏的地方了呀?”
刚才的四个人从后面来观察情况。加奈江独自迅速地自向数寄屋桥的方向跑着离开了。明子紧追其后。
原文:
「どうしましょう。向う側へ渡って京橋の方へ行ってオリンピックへ入りましょうか。それとも別に堂島なんか探すわけじゃないけれど、この西側の裏通りを、さっさと歩いてスエヒロの方へ行きますか」
加奈江は明子と相談した。
「そうね。何だか癖がついて、西側の裏通りを歩いた方が良い気がするわ」
明子が言い終らぬうちに、二人はもう西側に折れて進んでいた。
「そら、あそこよ。暮に堂島らしい男がタクシーに乗ったところは」
明子が思い出して指さした。二人は今までの澄ました顔を、たちまち厳くした。資生堂の横丁と交叉する辻角に来たとき、五人の酔った一群が肩を一列に組んで近くのカフェから出て来た。そしてぐるりと半回転するようにして加奈江たちの前を、ゆれて肩をこすり合いながら歩いて行く。
「ちょいと!堂島じゃない、あの右から二番目」
明子がかすれた声で加奈江の腕をつかんで注意したとき、加奈江は既に獲物に迫る意気込みで、男たちの後を追いかけた。
――どうにかこの一列の肩がほぐれて、堂島一人になればよいが――と加奈江はあせりにあせった。
それに、堂島が自分達を見つけているかも知りたかった。そう思って堂島の後ろ姿を見ると、特に俯いているのも怪しかった。二人は半丁も後をつけた。そのとき不意に堂島は後ろを振り返った。
「堂島さん!ちょっと話があります。待って下さい」
加奈江はすかさず堂島の外套の背を握りしめ、後へ引いた。明子もその上から更に外套を握って足をふんばった。堂島は女二人の渾身の力で喰い止められ、そのまま逃れることは出来なかった。
五人の一列は、堂島を底にしてV字型に折れた。
「よー、こりゃ素敵、堂島君は大変な女殺しだね」
同僚らしいあとの四人は肩を組んでいたのをほどき、呆れと物珍らしい顔つきで加奈江たちを取巻いた。
「いや、何でもないよ。ちょっと失敬する」
そういって堂島は加奈江たちに外套の背を掴まれたまま、連れの四人から離れて西の横丁へ曲って行った。人通りのないところまで来ると堂島は立止まった。
離して逃げられでもしたら、と外套をしっかり握りしめてついて来た加奈江は、手に力をこめるほどあの時の恨みが突き上げて来て、今は凄まじい気持ちになっていた。
「なぜ、私を殴ったんですか。口を利かなかったぐらいで殴るなんて。卑怯じゃありませんか」
加奈江は涙が流れて堂島の顔も見えないほどだった。あれからの、自分の惨めな毎日が涙の中に浮び上った。
堂島は、不思議と神妙に立っているだけだった。明子は加奈江の肩をしきりに押して、叩き返せと急きたてた。しかし女学校在学中も、友達と口喧嘩はしたけれども、手を出すようなことは一度だってなかった加奈江には、男の顔を殴るなぞということは、なかなか出来ない事だった。
「あんまりじゃありませんか、あんまりじゃありませんか」
そういう鬱憤の言葉を繰り返し言い募ることによって、加奈江は激情を弾ませていった。
「あなたが殴ったから、私も殴り返してあげる。そうしなければ私、気が済まないのよ」
加奈江は、やっと男の頬を叩いた。
しかし、叩いたことで男の顔がどんなに歪んだか、鼻血が出はしなかったかと心配になり出す彼女だった。叩いた自分の掌に男の脂汗が淡くくっついたのを敏感に感じながら、加奈江は一歩あとずさった。
「もっと、うんと殴りなさいよ。利息ってものがあるわけよ」
明子が傍から加奈江をけしかけたけれど、加奈江は二度と叩く勇気がなかった。
「おいおい、こんな隅っこへ連れ込んでるのか」
さっきの四人連れが後から様子を覗きにやって来た。加奈江は独り、さっさと数寄屋橋の方へ駆けるように離れて行った。明子が後から追いついて