这更衣的父亲官居大纳言之位,早已去世。母夫人也是名门贵族出身,看见人家女儿双亲俱全,尊荣富厚,就巴望自己女儿不落人后,每逢参与庆吊等仪式,总是尽心竭力,百般调度,在人前装体面。只可惜缺乏有力的保护者,万一发生意外,势必孤立无援,心中不免凄凉。 敢是宿世因缘吧,这更衣生下了一个容华如玉、盖世无双的皇子。皇上急欲看看这婴儿,赶快教人抱进宫来。一看,果然是一个异常清秀可爱的小皇子。
大皇子是右大臣之女弘徽殿女御所生,有高贵的外戚作后盾,毫无疑议,当然是人人爱戴的东宫太子。然而讲到相貌,总比不上这小皇子的清秀俊美。因此皇上对于大皇子,只是一般的珍爱,而把这小皇子看作自己私人的秘宝,加以无限宠爱。
小皇子的母亲是更衣,按照身分,本来不须象普通低级女宫这样侍候皇上日常生活。她的地位并不寻常,品格也很高贵。然而皇上对她过分宠爱,不讲情理,只管要她住在身边,几乎片刻不离。结果每逢开宴作乐,以及其他盛会佳节,总是首先宣召这更衣。有时皇上起身很迟,这一天就把这更衣留在身边,不放她回自己宫室去。如此日夜侍候,照更衣身分而言,似乎反而太轻率了。自小皇子诞生之后,皇上对此更衣尤其重视,使得大皇子的母亲弘徽殿女御心怀疑忌。她想:这小皇子可能立为太子呢。
父の大納言はもう故人であった。母の未亡人が生れのよい見識のある女で、わが娘を現代に勢力のある派手な家の娘たちにひけをとらせないよき保護者たりえた。それでも大官の後援者をもたぬ更衣は、何かの場合にいつも心細い思いをするようだった。
前生の縁が深かったか、またもないような美しい皇子までがこの人からお生れになった。寵姫を母とした御子を早くごらんになりたい思召しから、正規の日数がたつとすぐに更衣母子を宮中へお招きになった。小皇子は、いかなる美なるものよりも美しい顔をしておいでになった。
帝の第一皇子は右大臣の娘の女御からお生れになって、重い外戚が背景になっていて、疑いもない未来の皇太子として世の人は尊敬をささげているが、第二の皇子の美貌にならぶことがおできにならぬため、それは皇家の長子としてだいじにあそばされ、これはご自身の愛子として、ひじょうにだいじがっておいでになった。
更衣ははじめから普通の朝廷の女官として奉仕するほどの軽い身分ではなかった、ただ、お愛しになるあまりに、その人自身は最高の貴女といってよいほどのりっぱな女ではあったが、しじゅうおそばへお置きになろうとして、殿上で音楽その他のお催し事をあそばすさいには、だれよりもまず先にこの人を常の御殿へお呼びになり、またある時はお引きとめになって更衣が夜の御殿から朝の退出ができず、そのまま昼も侍しているようなことになったりして、やや軽いふうにも見られたのが、皇子のお生れになって以後、目に立って重々しくお扱いになったから、東宮にも、どうかすればこの皇子をお立てになるかもしれぬと、第一の皇子のご生母の女御は疑いをもっていた。